西へゆく女

西へゆく女

岩松×KERA×広岡

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ナイロン100℃の主宰者・ケラリーノ・サンドロヴィッチと、女優・広岡由里子のユニット、オリガト・プラスティコの第2回目の公演。1回目は、2000年に本多劇場で上演された「カフカズ・ディック」という評伝劇(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)で、カフカのなぞに満ちた生涯を虚実ないまぜに綴り、高い評価を得ました(この作品を含む00年のKERAの活動に対し、朝日演劇賞が贈られました)。

今回は本を岩松了が書き下ろし、それをKERAが演出、さらに同時期に演劇集団「円」でも同じ作品を岩松本人が演出し、岸田今日子主演で上演する、という試みです。岩松×KERA×広岡という、スリリングな顔合わせが実現。出演者も、渡辺いっけい、宝生舞、長塚圭史 ほか、映像・舞台で活躍する魅力的な面々が揃いました。

日時
全公演終了しました。
2003年9月12日(金)〜21日(日) (東京)
2003年9月27日(土)〜28日(日) (大阪)
場所
東京:本多劇場
大阪:近鉄小劇場
岩松了
演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
キャスト
広岡由里子
宝生舞
長塚圭史
八十田勇一
安澤千草
鈴木リョウジ
矢沢幸治
* *
渡辺いっけい
ストーリー

かつてスパイだったという女・ハルは、今、山奥でひっそりと若い女・チーコと二人で暮らしていた。彼女たちが住み着いたのはかつて子供たちが通っていた幼稚園の、今は廃墟となった園舎だった。チーコは少し頭の弱い女だったが、その無垢な美しさにタジマという男が惹かれて、結婚を申し込む。そこには、もう一人の男、ワタベが住み着いていた。道に迷ってそのまま居着いてしまったこの若い男は、ハルの過去に関係しているのか……。

ハルは彼に苛つき、タジマはこの男の存在に不安を感じる。折りもおり、山の下の町では、ハルがチーコに売春させているらしい、との噂が流れる。揺れるタジマ。ハルとチーコの、隠された関係とは? そしてハルがスパイだったというのは本当のことなのか? 謎と愛憎うずまく4人の男女の人間関係を中心に、彼らをとりまく人々の、滑稽な悲喜劇。二人の女をめぐって、人々は対立し、小さな諍いがやがてのっぴきならない事件を引き起こす。争いの果てに彼らが見たものは?そして「スパイ」と名のる女の正体とは?

世間からうち捨てられた場所で繰り広げられる、スパイと名のる女と、寂しい運命に弄ばれる人々の不思議な邂逅の物語。容赦なく人間の暗部を暴く鬼才、岩松了・渾身の新作を、笑いの天才KERAがどう料理するのか、緊張感溢れる作品になることを予感させる。